【完】こちら王宮学園ロイヤル部
もくもくとチョコを口に運んでいたルアが、口を開く。
視線を向ければ安定に独特のテンポを保ったまま、ルアは思い出すように誰とも視線を合わせず言葉を続けた。
「まだ、部屋から出なかった頃。
ななせのこと、しらべたことがあるんだけど、」
「……何かわかったの?」
「……ロックがかかってた、よ?」
「……ロック?」
どういうこと?と。光の加減で薄く透けるような淡いグレーの瞳を見つめれば、ルアはまたかさかさと新しいチョコの包みを開く。
甘いものを摂取しないと頭がはたらかないらしい。
続きが気になるものの、ルアは急かしたって話してくれない。
いい意味で、誰よりも落ち着いてる。……ただのマイペースだけど。
「ななせの情報。……と、あと、ご両親の情報。
頑丈なロックがかかっててしらべられないようになってたから、たぶん、裏でなにかおおきな組織が絡んでるんじゃないかな」
「……大きな組織って、」
「ただの研究施設が、研究者の情報をかくすにしては、ずいぶんとしっかりしたロックだったよ……?
SPをつけて行動しててもおかしくないような人たちと、おなじようなロックだもん」
「………」
「父さんが、情報をくれないって言ってたけど……
もしかしたら、八王子ですらも、手に負えないような案件なんじゃないかなぁ」
八王子は、政界ともつながりが深い。
なのにその八王子ですらも、扱えないような案件?
「ぼく個人としては、ななせのことすきだけど。
謎がおおすぎて、安全とはいえないとおもう……よ?」