【完】こちら王宮学園ロイヤル部
待っ、そうだ、
油断してたけどこの人初恋拗らせて……っ!
いや、その相手が本当にわたしなのかは怪しいんだけど、それでもこんなにはっきりと「狙ってる」なんて言われてしまえば顔も赤くなるわけで。
ぶわっと一瞬にして全身が熱を上げる。
「うわ、顔真っ赤。
こんな一言だけで赤面させられたら、キスしても顔色ひとつ変えられなかった夕陽にいっそ同情するわ〜」
「ちょ、っ、椛余計なこと言わないで!」
「ああ、そういえばされてたな。
俺が上書きしてやろうか? 南々瀬」
「っ……、しなくていいです!」
だめだ、この人ぜったいわたしのこと見て楽しんでる。
っていうかちょっと楽しそうだし、この人とんでもないドSだ。そういえば出会った時からいつみ先輩はわたしに対してやたらと甘かった。
「……というか!
万が一その姫がわたしじゃなかったらどうするつもりなんですか……っ」
「あ?俺の中でそれはお前だって解決してる。
それに、もし違う人物だったらそれはそれだ。俺がいま口説いてんのはお前ひとりだろうが」
「めちゃくちゃな理論ですね……」
え、初恋引きずってたんじゃないの?
もしそれが本当にわたしじゃなかったらあなたの10年以上を無駄にすることになるんですけど、本当にいいんですかそれで。
「……すげーないつみ。真顔で口説いてんぞ」
「莉央さん、感心してる場合じゃないですよ」
「だってレアじゃね?
いつみが自分から女口説いてるのなんて見たことねーだろ」