【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「ま、前回お前が拉致された時、いつみ相当キレてたからな。

もうあんな馬鹿なことするヤツなんていねーよ」



よかったじゃねーかって頭を撫でてくれる莉央。

それがいつみ先輩や大和の感触とはまた違って、不意にいつみ先輩のことを思い出して、ドキドキする。



「わたしが急にこんな格好で行ったら、

びっくりされると思うんだけど……」



「ははっ、いいじゃねーか。

いつみのことも、椛みたいに悩殺してやれよ」



……悩殺って。

とは思ったけど、未だに目があうたびに椛が逸らすから、ちょっとだけいつもの自分よりは自信が持てる。



残念ながらいつみ先輩がこんな反応をしてくれるとは思えないけど。

それでも何か言ってくれたらいいな、と思いながら。



「遅くなってごめんなさい」




リビングに、足を踏み入れた瞬間。

一瞬だけ、部屋の空気が変わるのを感じた。



「……あら。

南々瀬ちゃん、お化粧してたの?」



「さっきクラスの女の子がしてくれて……」



「ななせ、いつも以上にかわいいね」



ぎゅうっと腕に抱きついてくるルア。

「かわいい」って言ってくれたのが嬉しくてぎゅうって抱きしめてあげたら嬉しそうに笑ってくれるし、顔をあげたらルノに一瞬で視線を逸らされた。



……あれ。

その反応、めちゃくちゃ椛とかぶるんだけど。



もしかして、と。

満足したようにルアが離れてからすたすたとルノに近づけば、「えっなんで近づいてくるんですか?」と彼は聞いてくるけど。一向に目が合わない。



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