【完】こちら王宮学園ロイヤル部



みんなのことを少し揶揄っただけなのに、真剣に驚かれて逆に驚いてしまう。

……すぐにでも嘘ってバレるでしょ、こんな冗談。



「ちょ、いっちゃん〜っ」



「……俺に言うなよ」



「だって南々ちゃんが……!」



「……冗談だからそこまで騒がないで」



ようやく否定すれば、「冗談?」と聞いてきた椛は、すごく困ったような顔をする。

それから心臓に悪いと安堵したような表情を見せているあたり、どうやら本当にわたしと夕陽に何かあると思っていたらしい。



……そんなわけないのに。

椛は稀に、よく分からないところでこういう変なスイッチが入る時がある。




「よかったです。

もしそんなことになってたら、夕陽のことを始末しなきゃいけなくなってました」



ふわり。プリンススマイルをルノは浮かべているけれど。どことなく何か不穏なものを隠し切れていないのはなぜだろう。

え、いま始末って言わなかった?



「……ルノって」



「はい。なんですか?」



「……ほんとは腹黒いわよね」



言えば彼は一瞬きょとんとしてから、「否定はしません」と一言。

……否定しないんだ。別にいいけど。



プリンスだとキャーキャー言われてるから、なんだかその姿が意外で。

……いやでも、さわやかアイドルとしてテレビに出ている夕陽だって、裏は"ああ"だし。



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