【完】こちら王宮学園ロイヤル部
ぴたりと、先輩が動きを止める。
椛の公開告白への悲鳴も相当だったけど、それと比べ物にならないほど大きなそれ。
なにごと!?と、周りを見回して、固まる。
……ちょっと、まって?
「……ど、どういうこと?」
なにこれドッキリ?
巨大モニターに映っているのはあろうことかわたしと先輩。戸惑っているわたしたちの状況が、そのままうつしだされている。
つまりこの悲鳴の、原因って。
「っ……!」
い、いま……
キスされそうになってたのが、うつった……?
「……どういうことだよ、これ」
チッ、と。
不機嫌そうに舌打ちするいつみ先輩。その態度の悪さに一瞬怯みそうになったけれど状況を知りたいのはわたしも同じで。
カメラを向けている相手に、答えを求めるように視線を向ければ。
返事よりもはやく、「おいおい〜」とゆるい椛の声。ばっとそっちを見れば、放送席にいるルノを除くロイヤル部のメンバーが集合していた。
「まさかカメラ回した瞬間にキスしてるとは思わないじゃねえの。
俺らもモニター見てびっくりしたわ。っていうか姉さんがジュース吹くとこだったわ」
「体育祭中に堂々とイチャついてんじゃねーよ」
いや、されそうになったけどキスしたわけじゃないし……ああでもカメラの角度的にはしてるように見える……?
っていうか問題はそれじゃない。この状況だ。
「あの、これって……?」