【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「ちょっと椛手伝って」



誰でも良いからと、すぐそばにいた彼を捕まえる。

それからずるずると引っ張りながら中に入ったわたしは、いつみ先輩と夕帆先輩を呼んだ。



「いまからオセロしましょう」



「……どしたの南々瀬ちゃん」



「わたしと椛がペア、いつみ先輩と夕帆先輩がペアです。

負けたら喧嘩してる理由を教えてください。先輩ふたりが勝てば、わたしたち全員で叶えられる限りふたりのお願い事をなんでもひとつ聞きます」



「おまっ、それは無茶ぶりでしょうに」



椛からは非難めいた声を向けられるし、なに巻き込んでるんだとでも言いたげな視線を背後から感じる。

だけどわたしに任せるという名目で押し付けたのだから、それくらいのことは言っても良いと思う。




それにペアになれば必然的に先輩たちは話さなきゃいけないし。

いそいそとリビングに置かれているオセロを持ってきて、テーブルのど真ん中に設置した。



「ちなみに"やらない"はナシですからね」



「……わかったわよ」



ものすごく、嫌そうだけど。

とりあえずこのノリにノッてくれるらしい。



「じゃあ、夕帆先輩と椛でじゃんけんしてください。

勝ったほうが黒で、負けたほうが白です」



っていうかさっきから返事してくれるのが夕帆先輩だけだから、ものすごく怖い。

なんだかすでに心が折れそうだけど、ゲームスタート。



ちなみにじゃんけんに勝ったのは夕帆先輩。

3年組が黒、2年組が白だ。



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