【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「誘ってます?」



放たれた斜め上すぎる発言に、もはや驚きすぎて声も出ない。

なのにその言葉にふくまれる妖しげな声色に、ぞくりと身体が震えた。吐息の触れた場所に指で触れられて、何かが燻っていく。



「ルノ、だめ……」



「なにが"だめ"なんですか?」



「っ……」



なにが、って、そんなのわからない。

っていうか、なんで今日はそんなに意地悪なんだろう。普段はもっと優しいのに。



……ああ、そう、か。

先輩ふたりは卒業して、椛は実家。莉央は今日は椛と呉羽くんと新発売のゲームをするとかで泊まりに行ったし、ルアも春休み中は実家にいる。




「先輩?」



ふたりきり、だ。

王様不在の、城ではなくなったこの場所で。



「どうしろって、言うの……」



きっと莉央は、気を遣ってくれたんだろう。

わたしがルノと、たまにはふたりきりになれるように。……いいのに、そんなことしなくても。



「わ、たし……ロクに恋愛経験もないのに、」



ぽろぽろと、燻ったばかりの何かが情けなく剥がれ落ちる。

彼が慕ってくれる"先輩"という立場と、"彼女"という立場のジレンマでどうにもできなくなった自分の内側を吐露するのは、勇気がいる。



まるで涙みたいにこぼれていくわたしの言葉を、

ルノはなにも言わずに聞いてくれていた。



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