【完】こちら王宮学園ロイヤル部







「……男子高校生の体力が怖い」



「南々先輩、運動嫌いですもんね」



しれっとしたその表情は、すっかり落ち着いていて。

なんでもないようにルノが言うから、思わずため息をつきたくなってしまった。



「疲れるからしばらく日にちあけてね」



「……ふふ」



「ちょっと待ってなんで笑ってるの」



割と辛辣に吐き捨てた自覚があるのに。

そんな風に笑われるなんて予想になかったから、うしろから抱きしめてくれている彼を勢い良く振り返ってしまう羽目になった。




「日にちあけたら、許してくれるんだなぁと思って」



「っ、」



「……じゃあまた日にあけて誘いますね」



含み笑いのルノを、じろりと睨んでみるけれど。

楽しげに笑われただけで、失敗に終わる。



「……愛してます」



まるで機嫌を取るみたいに、耳元で小さく囁かれたそれ。

ルノらしくないセリフにふたたび振り返れば、彼はふいっと顔を背けて、目を閉じた。



【その2 八王子ルノの場合】



顔が赤いのは、彼に余裕がない印。



< 588 / 655 >

この作品をシェア

pagetop