シンデレラの魔法は解けない
男性は心配そうな表情のまま、再び口を開いた。
その口から発せられた言葉は、信じられないものだった。
「もし良かったら、俺が彼氏のふり、しましょうか?」
「……え?」
「俺が彼氏として、その結婚式に参加しましょうか?」
あたしはぽかーんと彼を見ていた。
この男性は、正気なのだろうか。
知り合いならまだしも、あたしは初対面の女性だ。
そんなあたしの彼氏のふりをして、結婚式に出てくれるだなんて。
驚きのあまり、涙すら止まってしまった。