シンデレラの魔法は解けない
必死に涙を我慢するあたしの頭を、平さんはそっと撫でる。
その大きい手が大好きだ。
だが、その手に甘えることすら出来ない。
「藍ちゃんが気にしなくてもいいんだよ。
事件が解決出来て、良かったんだよ」
平さんはどうしてそんなことを平然と言えるのだろうか。
あたしに対して、腹が立たないのか。
隣に座る原さんが、煙草吸ってくると席を立った。
こんな時に平さんと二人っきりになると、その優しさに甘えてしまいそうで……
立ち上がるあたしの手を、平さんは引く。
「空き巣のことは大丈夫だよ。
それより、藍ちゃんが無事で良かった」
平さんはやっぱり優しい。
「ごめんなさい……」