シンデレラの魔法は解けない





彼はいつも以上に素敵だった。

着ているのはスーツなのに、洗練されていてお洒落で。

白を基調にした模様の入ったネクタイや、ブレスレット、そしてベルトという小物がそれを引き立てている。

スパイラルパーマの髪は色気すらあり、その髪から覗く瞳はやっぱり優しげで。

恥ずかしい格好のあたしは赤くなって下を向く。

そんなあたしを卑下することなんてせず、



「今日は藍ちゃんをお姫様にしてあげるね」



平さんは笑顔で言う。




「お姫様……」





それはいけないよ。

今日は麻友の結婚式だ。

いくら裏切り者だとしても、麻友より目立つことは避けたい。


< 49 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop