十五の行方
「…………」


のろのろと片付ける。


隣の机に分けておいたプリントをまとめて先生に返して、ひどく重い足取りで校門を出た。


喉が渇いていることに気づいて、通りの自販機で俺が好きなミルクティーを買う。


……ああ、そういえば、好きな飲み物も知らないな。


いつも一番安いのでいいよって言うから、二人で水かお茶ばっかり買っていた。


今さらな気づきは、驚くほど息苦しくて切ない。


そうだ。そうなんだ。


俺は、彼女の好きな飲み物も知らない。


十五が好きだってことしか知らないのに、あまりに見つけたたくさんの十五が身近にありすぎて、彼女をたくさん知っている気になっていた。

知ってるつもりだった。


本当は、引っ越すことさえ教えてもらえないくらいの仲で、それほどたくさんのことも知らないくせに。


知ろうと、しなかったのに。


……それでも俺は、隣の席の彼女が、十五が好きだと笑う彼女が、好きだったんだ。


久しぶりに一人で歩いた帰り道は、もうすっかり薄暗かった。
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