改稿【桃・中編・画】文鳥は要りませんか?
三竹の部屋に一緒に帰る為、あわてて机を片付けた。

ロマンスにしか見えなく思えない(私のばか)三竹の今日の態度に、振り回されてる。

「ほっちょぅ」社長と仲が悪くない彼は割りと、ほっちょぅの近くに部屋を借りてた。

帰り道、長いコンパスの三竹に、遅れない様に速歩で、歩みを合わせる私に三竹が身の上話をした。


「俺、幼い頃、フィンチが好き過ぎて、雀の雛を保護して、ベタ慣れの相棒にしてた」

うん。と相づち

「甘慣れの雀は結局、野生に返した」
可哀想な事したと思ってる。その言葉に、うん。と相づち

「それで、イイ気になって酔っぱらってたんだ」だから…

「実家の紫陽花に、ヒヨドリが巣引きに、大興奮」しちゃって

うん。と相づち

「雛が育つのを観察してしまったんだ」
泣きそうな声色に、めげずに、うん。と相づち

今ではイケナイと知ってる常識なんだけど…

「文鳥と雀とヒヨドリを同類扱いしてしまった」
うん。と相づち

「親鳥が俺に気づき雛をほって飛んでった時、俺ばかだから気づかなかったんだ」ヒヨドリの雛達が、文鳥や雀と違いたった数日で、親鳥以外に警戒感を感じて動く事に

「成長中のヒヨドリの雛二羽見てしまった」スゲェ可愛い姿だった。

「俺に脅えた雛は一羽ずつ巣から地上に舞い降りた」
野良猫が何匹も徘徊してる地区だったから、野鳥の雛の法則、忘れて、一羽ずつ巣に戻した。
そしたら、いたちごっこだよ(泣)
「俺の匂いまみれの雛達がお互い警戒しあい」
何度も何度も舞い降りた雛達を交互に巣に戻した。

その時の不謹慎な想い出は「両手のひらという体が、性欲を覚えてる」
だった。「手のひらが愛欲に溺れてたのを必死でコントロールした」

なんで獣医師の「小鳥」という種族は無い。「犬や猫」と違って、全部が違う種族っていう事を、俺は本気で理解してないんだって…

そして二羽、巣に戻せた瞬間ダッシュで、家の中に逃げて、彼らの気配を探った。

その晩、今日がお通夜で、明日がお葬式だと肌でわかった。
雛達の親鳥を探す声
親鳥が雛達を探す声
が、本当に聞こえ、明け方まで、泣き続けてた。
頭から離れなかった。風邪もひいた。

「家族は「別の野鳥が縄張りにしたのかな?」と聞いてくるくらい異質な泣き声だった。けど俺は「知らない」って本心を開かさなかった。」

「その日から俺はヒヨドリという十字架を背負ったんだ」

三竹の声が涙に染まりだしたので
顔を見ようとしたのだが、見せてくれなかった。



たどり着いたらしい。マンションの入り口で三竹が歩みを止めて、振り返った。
目が充血してた。

私に特別の笑顔を見せて
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