イジワルで優しい彼と再会したら
次の委員会、真琴は全く議事内容に集中できなかった。

委員会が終わるのを見計らって、隆一さんに声をかけることに決めていたからだ。

(片付けの時、どさくさに紛れてだったら大丈夫なはず!)

目の前では、隆一さんが議事内容のメモを取っている。
下を向いているせいで、まつげの長さがよく分かる。

見とれていると、風紀委員長の閉会の挨拶が聞こえてきた。

周りの生徒がいっせいに動き始めると、
椅子を運ぶふりをして、真琴は隆一に近づいた。

「あの!」

自分のカバンを開いて中を覗いていた隆一が、不思議そうに顔を上げた。

「ハイ。どうしました?」

どうしよう。舞い上がってしまって、思うように言葉が出てこない。

「恭介の幼馴染の、えーと、真琴ちゃん」

「えっ!はい。そうです」

いきなり名前を呼ばれるとは思ってもいなかった。
(まさか、恭介くん!?)

「あの、よければ途中まで一緒に帰っ」

「ごめん、俺、これから吹奏楽部の部室に用があるので」

やってしまった。
まずは他愛もない会話から、と思っていたのに、一緒に帰ろうなどと口が滑ってしまった。

隆一にあっさり断られ、真琴は今度は本当に椅子を移動しながら、

「あ、そ、そうですよね。すみません」

と力なく笑った。

「なので、ちょっと下駄箱のとこで待っててください」

持ち上げようとした椅子を見下ろしたまま数秒固まった真琴が顔を上げると、
隆一はすでに会議室のドアに手をかけるところだった。

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