最後の恋のお相手は
第三章 短い恋

一週間後の夜、仕事を終えた私は、地元の駅前のロータリーで、雄洋さんが来るのを待っていた。

雄洋さんに会える喜びは、ないに等しかった。今夜、別れ話をされるのが、目に見えていたから。

雄洋さんの目立つスポーツカーが、ロータリーに停まると、駆け寄った。すると不思議なことに、さっきまでなかった会える喜びが、ふつふつと沸いてきて、私の胸を騒がせた。

「こんばんは」

ふたりで会える最後の夜は、笑顔でいたいと思い、明るく挨拶をした。

「お待たせ。さぁ、乗って」

雄洋さんもまた、それに答えるようにして、白い歯を見せて笑った。

「今日は、どこに行くんですか?」

別れ話をするのは、わかっているけれど。あえて聞いてみた。

「着いてからの、お楽しみや」

能天気を装った私の質問に、合わせるかのような答えを返してくれた。その気遣いが雄洋さんらしくて、私の胸を締めつけた。

やっぱり私、雄洋さんが好き。

今夜、別れ話をされても、その気持ちは伝えたいと思った。

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