わたし、結婚するんですか?
「俺は刑事部長が怪しいと思ったぞ」
と遥久は、十分も見てなかったくせに決めつけ、言ってくる。

「あの人、しょっちゅう犯人やってるからな。

 昔、イケメンで売ってた俳優は、のちのち、犯人か殺される役になりやすいのは、なんでだろうな」
というストーリーとは全然関係ない推理を繰り広げてきた。

 いや、いろいろ考えている間に、課長がこんなことをしているのは、なにかの組織の巨大な陰謀があって――。

 というところまで、妄想が広がっていたのだが。

 課長の妄想は広がっては行かなかったようだった。

 でも、そろそろ真実にたどり着くべきときだ、と洸は思っていた。

 結婚式も迫ってきている。

 このまま結婚するなんて出来ない。

 課長と結婚して、もっと幸せな気持ちになって。

 あとで裏切られるとか、耐えられないから。

 もっと早くに追求すべきだったのに、しなかったのは、きっと……。

 目を覚ましたときからずっと、本当は課長のことが好きだったからだ。
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