わたし、結婚するんですか?
 




 金曜の夜、洸は子どもたちのために、せっせとクッキーを焼いていた。

 ソファにチャトランと寝転がって、その後ろ姿を見ていた遥久は、ちょっと子どもたちに嫉妬する。

 たまには、俺のためにも、せっせとなにか作ってみろよ。

 まあ、洸が手際悪く料理しているのを見ると、イラッとしてきて、横から手を出してしまうのが悪いのだが。

 この間なぞ、怒った洸が、
「もう結婚しても、私はお料理作りませんっ。
 課長が作ってくださいっ」
と言ってきた。

 ……すまん、と思いながら、内心、ちょっとにやけてもいた。

 洸が自分との結婚を当たり前のように語るようになっていたからだ。

 記憶が戻っても、わだかまりがとけても、洸はまだちょっと、

『私、ほんとに課長と結婚するのかなー?』
とでも言いたげな視線でこちらを見ていることが多かったのだが――。

 いろいろ考えながら、遥久は、洸との出会いを思い返していた。






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