わたし、結婚するんですか?
 その洸に似た仔猫が、
「拾って」
とこちらに向かい、おねだりしているような気がした。

 いや、お前を拾うには、二十五万払わないといけないんだが……。

 まあ、洸のために二十五万払うことなど、たやすいことだが、この猫だと買ってきたと簡単にバレてしまうだろうな、と遥久は悩む。

 かしかしと爪を立て、キャットタワーに登ろうとしては失敗しているそのマヌケな仔猫は、運動する時間が終わったのか、狭いケージに戻されていった。

 だが、ガラスの向こう、ケージの中から、仔猫はまだ自分を見つめ、
「拾って」
と言ってくる。

 なんだか洸に言われている気持ちになった。

 妄想してみる。

 洸とこの仔猫と暮らす日々。

 しかし、その美しい空間で過ごすには、自分は穢れ過ぎているような気がしていた。






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