キミが可愛いわけがない


キーンコーンカーンコーン。



休憩のチャイムが鳴ると、教室が一気にざわつき始めた。


「ちょ、柚希どこ行くの?」


「有馬がうっさいからトイレ。ついてくんなよ」


ざわざわした周りに混じって、ユズの声がした方向を見ると、ユズが席から立ってから有馬にビシッとそう言っていた。



「ひど〜流石にそこまではしないって」


ハハハッと笑った有馬は「いってらっしゃ〜い」とユズに声をかけた。



気にくわない気にくわない気にくわない。


それでも俺はただ、美術室を出て行くユズの背中をジッと見つめるだけ。


好きな奴が目の前で他の男にアプローチされてるのを黙って見てるだけなんてかっこ悪すぎるけど、だからって今どうして良いのかも全然わかんねーし。


若松みたく、有馬に「友達になりましょう」とでも言えば変わるのか?





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