キミが可愛いわけがない


「あの、涌田くん!掃除当番っ!!」


っ?!



私と咲菜が階段の前で立ち止まってると、メガネをかけた男の子が慌てた様子で廊下を走ってきて、階段を降りようとしていた柄の悪そうな数名の男の子たちに声をかけていた。


「あ?俺用事あるんだよね。やっといてよ布施(ふせ)」


「涌田くん、この間もそう言って僕に…」


「あ?なんか文句あんのかよ」


なんだか…。


私と咲菜は顔を合わせてなんだかヤバそうな空気を感じとる。


多分、1年生の男の子たち。


彼らに私と咲菜は見えていないみたいだ。



「文句っていうか…いつも僕ばかり…」


「学級委員ならクラスメイトに協力しろよ〜」


体を小さくしながら喋るメガネの男の子がすごくかわいそう。


「学校委員だって、みんなが勝手に…」


「だからうるせーって、俺忙しんだよね。行こ〜〜ぜ〜」


聞く耳を持たない男子たちはメガネくんの声を遮って、ズラズラと階段を降りていった。



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