私のご主人様Ⅳ

「琴音、離せ」

「っ………」

叫んでるつもりなのに、全然声がでない。

どうしてこういうときに限って出てくれないの!?

その間にも信洋さんと青海さんは車のエンジンをかけ、ドアを開けたまま季龍さんが乗り込むのを待っていた。

「琴音、怪我はしねぇ。だから大人しく待ってろ」

「っ………ち、が………」

「ことねぇ、今はダメだよ!」

梨々香ちゃんに左手を捕まれる。その間にも季龍さんが離そうとする右手が離れないように力を込める。

その時、肩に触れた手は信じられない力で引き寄せられ、季龍さんの服をつかんでいた手は離れてしまう。

「ダメでしょ、邪魔したら」

「っ!!」

聞こえてきた声は確かに奏多さんに似てる。でも、その声に優しさなんかなんて、やっぱり別人なんだって確信を深めるだけだ。
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