蜜月なカノジョ(番外編追加)

「杏、こっち座って」
「え…あの、ナオさん、ここは…?」

広いとは言えないけれど、とてもセンスのいい内装とインテリアに囲まれた店内は、まさにオシャレ好きな大人のための空間って感じだ。こういうところに来ただけで自分がぐっと大人になったような気分になるから不思議だ。

「ここはカナが…さっきの奴がたまに出てる店なんだけど。俺も仕事の打ち合わせなんかで開店前に使わせてもらうことが時々あるんだ。あいつとは仕事でも繋がりがあるから」
「そう、なんですか…」

仕事「でも」ということは即ちプライベートでも繋がりがあるということで…

「…なんか変な誤解してるみたいだけど、あいつとはそんなんじゃないからな?」
「……」
「杏、あのな、」

「お待たせ~! あんたはいつものブラックね。そしてあなたはカプチーノね」
「……え?」

カタンと目の前に置かれたのは入れたばかりのカプチーノ。
何も聞かれてなければ言った覚えもないのに、出された大好物を見て驚くしかない。

…単なる偶然?

そんな疑問が顔に出ていたのか、カナさんと呼ばれた女性がニッコリと微笑んだ。

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