蜜月なカノジョ(番外編追加)
「……杏、キスしてもいい?」
「えっ?!」
「…怖い?」
ナオさんがそう言うのには理由がある。
何故なら「直斗さん」とのキスは初めてだから。
この一ヶ月の間毎日のようにキスをされ続けてきたけれど、そのどれもナオさんとしかしていない。こうして本当の意味で男と女として向き合うのは初めてだ。
怖くは…ない。ただドキドキが止まらないだけで。
でももうそれはどうしようもないことなんだ。だってナオさんのことが好きなんだから。好きな人と一緒にいるとドキドキしてしまうのは当たり前のこと。
ぶんぶんと首を振る私にほっとすると、すぐにナオさんの手が私の頬を包み込んだ。
あぁ、心臓が止まりそうなくらいにうるさい…
「………」
ナオさんの柔らかな唇がそっと触れて泣きそうになる。
どうしてこの人はいつもこんなにも優しく私に触れるのだろう。
好きだよと体中で言ってくれているかのような触れ方に、いつだって私の心は鷲掴みにされてしまうんだ。