蜜月なカノジョ(番外編追加)
「そ、それであんた…」
「とりあえずあの時のお礼は保留しておく。今の私でお礼を言ったところで話が噛み合うはずがないからね」
「そ、そりゃそうよね…」
「もう少し彼女と親しくなってからあらためてお礼を言うわ。全てはそれからでも遅くないでしょ」
「全てって…あんた何を企んでるの?」
「んー? うふふっ、そんな野暮なことは聞くもんじゃないわよ~」
「あっ、ちょっと! うちのお客に変なことしたら承知しないわよっ!!」
「やーだ、変なことなんて失礼しちゃうわね。オーナーに盾突いたら仕事なくなってもしらないわよぉ~?」
「はぁ~っ? あんたねぇっ! …っと、いらっしゃいませぇ~~!」
ちょうど入って来た客にコロッと態度を一変させる早技に笑いながら、俺は浮き足立つ心が抑えられずに仕事へと戻っていく。
…奇跡は起こった。
また彼女に会える。ここに来れば、いつか必ず。
次でもいい、その次でもいい。
彼女には正直に俺の事情を話して、そしてあの時君が助けてくれたのは俺だったんだということを全て話そう。
そうしてそこから彼女との新たな一歩が踏み出せたら____
再会出来た奇跡にすっかりおめでたい思考で埋め尽くされていたその時の俺は、これからの自分達には明るい未来しかないものだと信じて疑っていなかった。