蜜月なカノジョ(番外編追加)

そういえば変化したことが一つだけあった。
それは肉体的に少しずつ深く繋がり合うようになったことだ。

以前の俺は朝の生理現象を杏に悟られないために超早起き生活を続けていた。それがある日不覚にも寝坊をしてしまい、結果的に杏に知られることとなってしまった。
今度こそ本気で気持ち悪がられるだろうと恐怖に震えたが、蓋を開けてみれば杏は拒絶するどころか「朝一緒にいられないことが寂しい」なんてとんでも爆弾を投下したのだ。

好きな女にこんなことを言われて喜ばない男などいるわけがない。
あの杏が男としての俺を目の当たりにしてもそう思ってくれているという現状に、俺はいい意味で開き直ることを決めた。

まず寝るときにナオであることをやめた。
恋人になってからも俺は基本的にナオスタイルを維持していた。寝るときまでそうしていたのには大きな理由がある。それは男のままでいると自分の理性を保てる自信がなかったことだ。
男女としてのスキンシップをするようになっても、ベッドの中でだけは意図的に避けていた。せいぜいそれまで通りの頬へのキスやハグ止まり。

なんだかんだで俺は健全な男。
いくら器を誤魔化したところで本能まで抑制することは不可能だからこそ、ナオだと意識することでストッパーをかけることができていた。

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