蜜月なカノジョ(番外編追加)

葵さんはこのお店の店長で、さらにはナオさんの学生時代の同期だとか。
だからナオさんを通して私の事情を全て理解してくれて、そして申し訳ないくらいによくしてくれている。

こうして公私共にナオさんが近くにいるという生活が始まってもうすぐ半年。
とにかく日々が充実して幸せいっぱいだ。
ふとした瞬間、「いつこの夢のような日常が終わりを迎えるのだろうか」と不安に襲われることもあるけれど、そのことで思考を奪われるよりも、今ある幸せを大事にしようと自分に言い聞かせていた。


___たとえある日突然それが終わりを告げる時が来たのだとしても。


「杏ちゃん、そろそろ上がっていいわよ」
「え…でもあと5分…」
「あっははは! 相変わらず真面目ね~。まぁそれが杏ちゃんのいいところなんだけど。お客さんの流れもキリがいいし、5分くらい大目に見てあげるわよ~。今日は大事な日なんでしょ?」
「葵さん…ありがとうございます」
「これくらいいいわよぉ~。いつも真面目に頑張ってくれてる杏ちゃんへのご褒美」

あぁ、やっぱり今の私は怖いくらいに幸せだ。本当に。

「じゃあ…お言葉に甘えて上がらせていただきますね」
「りょーかい! 思いっきりナオを喜ばせてやってよね。あの子間違いなく号泣するから」
「あはは、なんか今から想像できちゃいます」
「そうよね~。普段から見慣れてるから今更驚きもないか」
「ふふっ、そうですね」
「じゃあ頑張ってね~!」
「はい、ありがとうございます! じゃあお疲れ様でした!」

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