蜜月なカノジョ(番外編追加)



「ふぅ、今日もいい買い物ができたなぁ~!」

マンションから徒歩二十分のところにある小さな商店街。ちょっとだけ遠いけど、行けば必ず掘り出し物に巡り会えるから週末のお楽しみにもなっているのだ。
今日は採れたてホヤホヤの新鮮なホタテが安く手に入って大満足。

「ナオさん何が食べたいかな~」

ナオさんは今日もお仕事だ。相変わらず忙しく頑張ってるナオさんに、帰ってきたら少しでも心と体を癒してもらえるように、私にできることなら何でも頑張りたい。

「あ…」

ふと、マンション近くに最近できたばかりのカフェが目に留まる。
それと同時にここ最近自分を悩ませている人物の顔が浮かび上がって、人知れず溜め息をついていた。

あの日、ナオさんに助けてもらってからというもの、明らかに小笠原君の行動が変わった。
あの時のように強引に私に迫ることはなくなったけれど、その代わりこの前のようなスタッフと一緒にいる時間を狙ってそれとなく会話をもとうとしているのだ。

多くが勤務時間内だからほとんど会話らしい会話にもならないのだけど、彼は必ず私だけを名指しして話しかけてくる。
とりとめのない雑談だし、周囲に人の目もあるともなれば露骨に避けることもできず、表面的には私も平常心を装っているのだけど…

「はぁ、なんか考えてるだけで疲れちゃった…」

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