蜜月なカノジョ(番外編追加)

永遠の蜜月



「スタッフ全員の頑張りのおかげで、有難いことにお客様の数も増え続けてます。これからも誰からも愛されるお店づくりをモットーに、共に頑張っていきましょう! 乾杯っ!!」
「かんぱーいっ!!!」

店長の葵さんの声かけで一斉にグラスを傾ける。そこかしこでぷはーっと一息つく声が上がると、その場は一気に盛り上がりをみせた。

今日はボヌールのスタッフ全員参加の飲み会。
人気店ともなれば今では年中無休なんてお店も少なくないけれど、定休日を必ず設けて全員が休む日を絶対につくるというナオさんこだわりのもと、数ヶ月に一回、こうして定休日を利用した飲み会が開かれている。
そこでナオさんや葵さんはもちろん、スタッフ全員が親睦を深め合うことで、より一層仕事を円滑化していくという狙いがあるらしい。

お店の雰囲気がいいのは、こういう細かい部分への気遣いがあればこそなんだと、実際に内側の人間になって初めて気付かされることがたくさんある。
そうしてその度にナオさんに惚れ直してしまうのだ。

遅ればせながら今日は新しいスタッフの歓迎会も兼ねているから、いつにも増して話が弾んでいる。
そう言えば自分が入った時も質問攻めにあったなぁと懐かしい。あれやこれやと聞きたがる男性スタッフから終始ナオさんが守ってくれたんだっけ。
あれからもう1年が経つのかと思うとなんとも感慨深い。


「杏ちゃんどうぞ~」
「あっ、ありがとうございます! すみません、私が先に行かなくて…!」
「いいのよ~。こういうときくらい無礼講で楽しみましょ」

始まって一時間ほどが過ぎた頃、グラスを片手に葵さんが隣に移動してきた。
見れば多くの人がなかなかのできあがり状態で、そこかしこに移動して話に花を咲かせている。

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