蜜月なカノジョ(番外編追加)


「単刀直入に聞くわね。もしかして昨日、ナオの秘密を知った?」
「…はい。…ずぶ濡れになって帰ったら、バスルームから全裸のナオさんが出てきて…」

たどたどしく状況を説明すると、葵さんは額に手を当てて「何やってんのよあのバカ…」と天を仰いだ。

「それで杏ちゃんはびっくりしてショックだったのね。そんなの当然だわ。…それで? こうしてきちんとここに出勤したってことはナオとちゃんと話はしたの?」
「…少しだけ、ですけど…」
「そう…」

シン…と沈黙が走る。昨日と今日で真逆に変わってしまったこの空気に、葵さんも何をどう言えばいいのかと戸惑っているように見えた。

「…それで? 杏ちゃんはこれからどうしたいの?」
「私、は…」

それがすぐにわかるようなら苦労はしない。
思ってもいなかった現実にいまだにショックを受けているのは事実だけれど、一方でナオさんと離れたくないというのも嘘偽らざる本音なのだ。
男とか女とか関係ない、私にとって「ナオさん」はそれだけ特別な存在だったから。男だったからという理由だけですぐに離れられるほど簡単な存在じゃないのだ。

でも一緒にいるということはナオさんが「男」だという事実は切り離せないわけで…

「……杏ちゃん、あのね」


ガタンッ! バタバタバタバタバタッ…

俯いたままの私に葵さんが何かを言いかけたとき_____

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