蜜月なカノジョ(番外編追加)

「こちらの商品のテーマは『私を掴まえて、そしてキスして』なんですよ」
「えっ?!!」
「ふふ、そんな顔をされるということはきっとお好きな方がいらっしゃるんですね」
「え? い、いや、」
「このリップをつければ間違いなくその意中の方はお客様に釘付けになりますよ。それくらいお似合いですから。ちなみにこれはお世辞でも何でもなく本音で言ってますからね?」
「い、いえ、ですから…」
「私もこの色が一番可愛いと思うんですけどね、残念ながら私の顔に一番合うのはこの色ではないようなんです。リップ一つとっても本当にたくさんの色がありますけど、その中から自分にぴったりの色に出逢えるのってすごく幸せなことですよね」

ニコニコ顔でそう言ってくれている店員さんの言葉は決してヨイショしているようには見えなかった。まぁそれこそが相手の狙い通りなのかもしれないけど。

でも自分でも悪くないと思っているのも本音。
常にビクビクしているのが嘘のようで、ぱっと顔色が明るくなった自分がそこにはいる。

「………」

< 94 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop