百花繚乱 社内ラブカルテット
景が完全に箸を止め、くりっとした目を更に大きく見開いていたから、軽く腰を浮かせた状態で首を傾げてみせる。
「どうかした?」
「あ、いや。……うん」
景は口元に手を当て、声をくぐもらせる。
つーっと視線を横に流す彼に、私は何度か瞬きをした。
それでも景がその続きを口にする気配が感じられなかったから、私はしっかりと立ち上がり、半分ほどうどんを残したまま、両手でトレーを持ち上げた。
「じゃ、お先に。……あ」
景の横を通り下膳台に向かおうとして、ふっと思い出す。
私は彼の横で足を止めて、少しだけ背を屈め、内緒話をするように声を潜めた。
「景、今日の夕食の約束、予定通りで大丈夫そう?」
「っ、えっ!?」
週末のデートの時、景と今晩の約束をしていた。
でも、景は忙しい銀行営業マン。
午後七時までに上がれないようなら、ただの食事デートもキャンセルになる。
後で行内メールで確認しようと思っていて、ちょうどいい!とばかりに訊ねてみたけど、どうやら不意打ち過ぎたようだ。
景の驚きように私の方が戸惑ってしまい、反射的にビシッと真っすぐ背筋を伸ばした。
「あ、ああ。ごめん。夕食ね、夕食。うん、大丈夫……」
「どうかした?」
「あ、いや。……うん」
景は口元に手を当て、声をくぐもらせる。
つーっと視線を横に流す彼に、私は何度か瞬きをした。
それでも景がその続きを口にする気配が感じられなかったから、私はしっかりと立ち上がり、半分ほどうどんを残したまま、両手でトレーを持ち上げた。
「じゃ、お先に。……あ」
景の横を通り下膳台に向かおうとして、ふっと思い出す。
私は彼の横で足を止めて、少しだけ背を屈め、内緒話をするように声を潜めた。
「景、今日の夕食の約束、予定通りで大丈夫そう?」
「っ、えっ!?」
週末のデートの時、景と今晩の約束をしていた。
でも、景は忙しい銀行営業マン。
午後七時までに上がれないようなら、ただの食事デートもキャンセルになる。
後で行内メールで確認しようと思っていて、ちょうどいい!とばかりに訊ねてみたけど、どうやら不意打ち過ぎたようだ。
景の驚きように私の方が戸惑ってしまい、反射的にビシッと真っすぐ背筋を伸ばした。
「あ、ああ。ごめん。夕食ね、夕食。うん、大丈夫……」