観覧車のモノローグ
 数ヵ月後。

「最後にあれに乗ろうよ」

 彼女が指差したのは、観覧車。

「そうだな」



 あの日の次の日。

 自宅の電話が鳴った。

 彼女が俺に会いたがっていると。

 すぐに病院へ行った。

 生きている彼女を目の前にして、俺は言葉を失った。

「また、会えたね。ちゃんと約束、守ったよ」



 観覧車の列に並ぶ。

 順番がだんだんと近づいてくる。

 俺に気づいて、元の同僚が告げた。

「今日は、綺麗な夕焼けが見えるよ」

「そうだな」


 観覧車は今日も回り続ける。

 様々な思いを乗せて。


                 FIN

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