春色のletter
コンビニの角を曲がって、ちょっと暗めの道に入った時、少し春の風を感じた。


何かの花の香りが混じっている心地良いあの夜風。


私は軽くため息をつくと、そこからはゆっくりと歩いた。



手紙が来てないかもしれないのだから、今の気持ち良さをちゃんと味わおうと思った。


上を見上げながら歩くと、星の少ない空だけど、いくつかの星が瞬いていた。


そして、下の方からハイヒールの音が響いた。


そのリズムも愉しみながら歩いていたが、もう武蔵野館に着いた。


なぜか砂羽さんに会わないようにと、抜き足差し足で玄関に入った。


意外としーんとしている。


私は胸を押さえながら、そっと自分の郵便箱を覗いてみた。


「あ!」
< 180 / 487 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop