春色のletter
裏返すと、「ハル」と書いてあった。
「こらこら。略すな」
私は笑いながらそうツッコんだ。
2階へ上がると、ラウンジにかおりさんが座って雑誌を読んでいた。
「お帰り~」
「ただいま」
「おやあ?」
彼女は私の顔を見上げて、にやあとした。
「え?」
「いやいや。幸せなコトは良いことです」
彼女はそう言うと、笑顔のまま、また雑誌に視線を戻した。
私はちょっとお澄まし顔でそそくさと通り過ぎた。
鍵を開けようとワタワタした。
「何かデート服が必要な時は言ってね♪」
その台詞にゆっくり彼女の方を向くと、雑誌に視線を落としたまま手を挙げていた。
「はあい」
私は苦笑しながら返事をした。