春色のletter
「じゃあ、夜梨子ちゃん。やってみ」
「え?私にできますかね?」
「コードでいいから」
ハルが言った。
「うん、やってみる」
私は椅子の高さを合わせて、鍵盤を叩いてみた。
「うん。いいよ」
「じゃあ、夜梨子から何か弾いてみて」
「うん」
私は深呼吸をすると、一応弾いたことがある曲をやってみた。
すぐにハルがリズムを入れてくれた。
ハルがタムを連打してリズムを変えたので、私も、もう訳もわからずコードだけにして、彼に会わせて鍵盤を叩いた。
でも、ちゃんと息が合っている。
一つの音楽になっているのを感じた。
視線を絡めながら、譲り合って、主張しあって、そして、ラストの雰囲気になった時、一瞬手を止めた。
すかさず、ハルがタムを連打しておかずを入れて、私がコード、ハルが連打、そしてコードとシンバルのクラッシュ。
きっちりとエンディング。