春色のletter
私は竹村夜梨子(よりこ)、29才。
西新宿の高層ビルの27階にあるアトランティックデザイン(株)というデザイン事務所に勤めている。
就職できなかった私は、地元福岡造形大学の先輩であるデザイナーの佐伯さんの好意で、この事務所へ入れてもらえた。
この事務所では売れっ子となった佐伯さんだからこそできた無理だったが、それなりに努力して、足手まといにはならずにこれまでやって来た。
それなのに、せっかくもらえたチャンスを潰し、私は佐伯さんの顔に泥まで塗ってしまった。
彼はそれを責めない。
それよりも私の事を心配してくれている。
早く一人前になる事は元より、この事務所で使えるデザイナーになる必要があった。
西新宿の高層ビルの27階にあるアトランティックデザイン(株)というデザイン事務所に勤めている。
就職できなかった私は、地元福岡造形大学の先輩であるデザイナーの佐伯さんの好意で、この事務所へ入れてもらえた。
この事務所では売れっ子となった佐伯さんだからこそできた無理だったが、それなりに努力して、足手まといにはならずにこれまでやって来た。
それなのに、せっかくもらえたチャンスを潰し、私は佐伯さんの顔に泥まで塗ってしまった。
彼はそれを責めない。
それよりも私の事を心配してくれている。
早く一人前になる事は元より、この事務所で使えるデザイナーになる必要があった。