春色のletter
「ハルというイラストレーターについてなんですが」
「ああ!ハルさんね」
彼は身を乗り出すと、手を打った。
「彼、いい絵描くでしょ!」
「ええ」
「そうだよね。でも、もったいないよね」
「え?何がですか?」
「あ、いや、下北沢のイラストレーターじゃなくなったからさ」
彼が私の反応にちょっと戸惑いながらそう言った。
「彼は、どこに行かれたんですか?」
「いや、俺も知らないんだよ。この間電話したら通じなくてさ。彼のマンションに行ったら引っ越してて」
「もしかして、『ハル』って柴田春雪さんですか?」
「あ、なんだ知ってるんだ」
やっぱり、そうだった。
でも、この人も行方は知らなかった。