HARUKA~恋~
「アオハル、何ぼけっとしてんの?」
宙太くんの声が耳をすり抜けた。
…そうだ、今、明日の打ち合わせ中だったんだ。
ふと視線をずらすと、斜め左の彼女がにっこり笑いかけてきた。
私の頭の中、見えているのかもしれない。
警戒レベルを1段階引き上げます…
「蒼井さん、明日のハイキング中調子悪くなったらよろしく」
「あっ、うん…わかった」
キミは、
キミは、
いつも、
いつも、いつも
「よろしく」って言うね。
他の言葉も聞きたいな…
ごめん、
私、
欲張りだ。
頼ってくれてありがとう。
それだけで十分だよ。
ってことにしておきます。
「アオハル、明日からはぼけっとすんなよ」
「宙太くんには言われたくない」
「それ、言えてるう」
2人の愉快な笑い声が、古びた部屋に良く響く。
目の前の遥奏くんは目を何度もパチパチさせてなんとか目を見開こうと努力している。
「何?」
私の視線に気づいて彼がこちらを真っ直ぐ見つめる。
途端に呼吸が止まり、まるで肉食動物に見つかったウサギのように身が縮こまった。
完全に飲み込まれた。
彼の透き通った瞳に…
「何でも、無い…よ」
笑い声にかき消されて、蚊の鳴くような私の声は空気と同化してしまった。
「そう。それなら良いけど…」
彼はそれだけ言うと顔を机に突っ伏してお休み体勢に入った。
また眠っちゃうんだね…
何も知らない人から見れば、彼はただの怠け者。
―――――だけど、実際は違う。
私は彼の苦しみを知っている。
出会ってすぐにその現実を突き付けられ、今も尚、それと戦っている。
遥奏くん…
私は…
キミの力になりたい。
ただそれだけ。
それだけが願いなんだ。
「アオハル、明日のBBQのことなんだけど…」
「あっ、私聞いてなかった…。ごめんね」
「また遥奏に見とれてたのかよ。勘弁してくれよ~」
「別にそんなんじゃないよ」
必死に否定するけど、本当は焦ってる。
私の気持ちは気づかれたら困る。
色々、複雑に絡み合ってるんだから。
それは宙太くんも重々承知のはず。
キリッと睨み付けてその場を取り直した。
どうやら波乱の幕開けらしい。
明日何も起こらないことを祈るしかなかった。
宙太くんの声が耳をすり抜けた。
…そうだ、今、明日の打ち合わせ中だったんだ。
ふと視線をずらすと、斜め左の彼女がにっこり笑いかけてきた。
私の頭の中、見えているのかもしれない。
警戒レベルを1段階引き上げます…
「蒼井さん、明日のハイキング中調子悪くなったらよろしく」
「あっ、うん…わかった」
キミは、
キミは、
いつも、
いつも、いつも
「よろしく」って言うね。
他の言葉も聞きたいな…
ごめん、
私、
欲張りだ。
頼ってくれてありがとう。
それだけで十分だよ。
ってことにしておきます。
「アオハル、明日からはぼけっとすんなよ」
「宙太くんには言われたくない」
「それ、言えてるう」
2人の愉快な笑い声が、古びた部屋に良く響く。
目の前の遥奏くんは目を何度もパチパチさせてなんとか目を見開こうと努力している。
「何?」
私の視線に気づいて彼がこちらを真っ直ぐ見つめる。
途端に呼吸が止まり、まるで肉食動物に見つかったウサギのように身が縮こまった。
完全に飲み込まれた。
彼の透き通った瞳に…
「何でも、無い…よ」
笑い声にかき消されて、蚊の鳴くような私の声は空気と同化してしまった。
「そう。それなら良いけど…」
彼はそれだけ言うと顔を机に突っ伏してお休み体勢に入った。
また眠っちゃうんだね…
何も知らない人から見れば、彼はただの怠け者。
―――――だけど、実際は違う。
私は彼の苦しみを知っている。
出会ってすぐにその現実を突き付けられ、今も尚、それと戦っている。
遥奏くん…
私は…
キミの力になりたい。
ただそれだけ。
それだけが願いなんだ。
「アオハル、明日のBBQのことなんだけど…」
「あっ、私聞いてなかった…。ごめんね」
「また遥奏に見とれてたのかよ。勘弁してくれよ~」
「別にそんなんじゃないよ」
必死に否定するけど、本当は焦ってる。
私の気持ちは気づかれたら困る。
色々、複雑に絡み合ってるんだから。
それは宙太くんも重々承知のはず。
キリッと睨み付けてその場を取り直した。
どうやら波乱の幕開けらしい。
明日何も起こらないことを祈るしかなかった。