HARUKA~恋~
忘れていた頃に、恐怖は襲ってくるものだ。



春休み中、私はほとんど毎日部活に参加し、彼らのサポートをしていた。
終日の日も結構あって、なかなか休めなかった。

大きな欠伸を1つする。

そんな私を見て右隣に並んで歩く遥奏が桜の花びらのように頬を鮮やかに染めて笑っている。


「ハル、眠い?」

「うん…ちょっと」

「始業式で寝るなよ。立って眠ってたらバレないと思うけど」

「大丈夫。寝ないよ。私、遥奏と違って朝苦手じゃないから。そういう遥奏こそ気をつけてね」

「余計なお世話。オレ、1年前とは違うから」



そっか…。
遥奏と出会って1年か…。


1年で痴話喧嘩も出来るくらいにまで私達のキョリは縮まった。


思えば私はたった1年で、私にはもったいないくらいカッコ良くて、ちょっぴり可愛くて、優しくてスポーツ万能で…本当に話し始めたらきりがないほど素敵なカレシを手に入れた。


もう、高校生活は要りませんなんて言わない。

私にとってかけがえのない人たちと結びつけてもらったこの時間は決して忘れたくない。
他のことを忘れても、遥奏や宙太くんは覚えていたい。


「ハル、何ボーッとしてんの?オレとクラス離れたら、ハルどっかに浮遊して行きそうだな」


完全に忘れていたが、クラス変わるんだ。


今年は最後の年だから、絶対に楽しくてまとまりのあるクラスが良いな…


咲くべき時を見計らって準備を進めているであろう桜の木々を見ながら昇降口に向かった。
< 74 / 76 >

この作品をシェア

pagetop