幸せの構図
北口に出て人の流れとは逆方向に歩いた。数は少なかったが学生たちが同じ方向に歩いていた。これから向かう自分の母校の学生たちだ。歩いた道はいわゆる裏道。そこはもう学生たちしか歩いていなかった。
20年以上前と同じ風景が嬉しかった。

正門からキャンパスにはいった。明らかに外部とは違った空気がそこにあった。一瞬にして私は郷愁に似た感情に覆われた。

立ちすくむ私の横をまっすぐに講義棟に向かう学生たちが通りすぎていった。学生たちだけでなく、風景そのものが私の横を流れるような感覚。それでもそこにあるのは同じキャンパスの風景なのだ。
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