幸せの構図
「りつこ!」

思わず彼女の名前を呼んだ。

何日ぶりだろうか。今りつこがそこにいた。

その後ろ姿は何故か今までよりも稟としたオーラを放ち今まで以上に私の心を惹き付けて止まなかった。

ゆっくりと電波塔に向かうりつこ。

私も車をおりた。ドアを閉めゆっくりと歩き始めた。

5mだろうか。10mだろうか。彼女が前を行く。

彼女の残り香の後をゆっくりと追う。

胸の高まる鼓動と暖かい気持ちが共存していた。にじみ出る微笑み。

彼女はまだこの場所の真価をまだ目撃していない。

その彼女が階段に一歩、足をかけた。
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