幸せの構図
恐らく不気味なほどの気配を発する高麗山がその自らの意志で様々な想いを浄化しているのかもしれない。それほどの存在感を持つ山だ。

いずれ私を癒すにじゅうぶんな価値があった。確かに日野の丘から見渡せる我が「地元の夜景」にも癒された。

しかし行き場を失ったと感じた時、あきらめかけた時、この場所は私にパワーを与えてくれた。すーちゃんのいる平塚であるという関わりにはは全く関心がなかった。それほど当時の私は「今」に必死だった。

そしてその場所は私の聖地になった。

りつこにも当時私がどんな思いで過ごしていたか、そして湘南平のことは何度も話していた。

そのりつこが私の目の前できらめく夜景に呑み込まれていた。身じろぎもせず佇んだままだった。

私は一歩、りつこに近づいた
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