幸せの構図

25歳で居酒屋の店長にさせられた時、当初は何もかもがうまくいかなかった。徐々に好転はしていったが「時代」が私を助けてくれたのだと今は思う。それでもくじけそうな出来事が次々と私に「課題」として課せられた。

そんなある日、地図も持たず車を走らせた。当時はまだ慣れぬ都心の道を抜け神奈川に足を伸ばした。ラジオから偶然聞こえた「湘南平」の話題。せっかくだからとそこに向かうことに。迷いながらもようやくたどり着いた。

そこで目にした圧倒的な夜景。東京ワターから見るどこまでも広がる都心の夜景よりも美しかった。人々の思念に犯されていない美を感じた。地元の若者が多かったのだろうか。カップルの間では有名だったのだろうか。そこに様々な思念が残存していてもおかしくなかった。
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