三次元に、恋をした。
営業マンとはいえ、彼は成瀬不動産の副社長だ。

多忙なことは間違いないだろう。

仕事上、名刺は社会人にとって必要不可欠なのは確かなのだが。

だが、きっと名刺なんかはたくさんあるだろうし、現に困っていないから取りに来てない訳で。

行き場のない名刺入れがずっとここにある。


「先輩、お先にどうぞ〜?」

お昼時に差し掛かり、愛梨ちゃんを残して先にお昼ご飯を食べに席を立った。

天気も良いし、久しぶりにテラス席のあるカフェでも と財布片手に向かった。
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