Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
「本当に? 高校でも大学でも、好意を持って近づいてきた女の子を一刀両断したって話、菜穂から聞いてるよ。泣かせた子もいるって。私もそんな現場を何度か見たことあるし」
「何度も断ってるのに家まで来られたらそうもなるだろ」
はっ、と鼻で笑いながら言う涼太に、外見は成長しても中身は変わらないなぁと思う。
まるで学生のまま育ってしまったけれど、これで大丈夫だろうか……と心配になるのは余計なお節介なのかな。
でも、まるで自分の弟のように見てきたから、お節介だって言われたところで、どうしても心配にはなってしまうけれど。
「おまえはなんだったんだよ。今日。今まで仕事してたわけじゃねーんだろ?」
「ああ、こっちも同期会」
「おまえんとこの同期って仲いいよな。結構な頻繁で飲み会してるし」
「月一くらいかなぁ。小さい集まりはもっと多いけど、あんまり出席しても疲れちゃうしね。お酒もそんなに強いわけでもないし」
宮地なんかはお酒も強いし週一くらいで飲んでるらしいけど……と考えてから、バッと涼太を見上げた。
そういえば涼太もさっき同期会って言ってたことを思い出して、お酒飲みすぎたりしてないかなって思ったからだったけど……見る限り、顔色はいたって普通だ。
男にしては白い肌は、赤らんでいる様子はない。
「涼太、飲んだんでしょ? あまり顔に出ないタイプ?」
涼太はチラッとだけ私に視線を落としたあと、前を向き「かもな」と答える。
「大学んときからたまに飲み会とか出てたけど、酔ったことねーし。先月の歓迎会で、支店長にすげー注がれて飲んだけど、先に潰れたの支店長だったし」
言われて、先月の歓迎会を思い出す。
居酒屋を貸し切って行われた三店舗合同の歓迎会、涼太のところの支店長はたしかに会半ばでつぶれてたっけと。