Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
「ああ、そういえば支店長一次会で潰れてたけど……あれって涼太が潰したの? テーブル違ったから知らなかった……」
あの支店長、決して弱いわけじゃないのに……と驚いていると、涼太に気に入らなそうな声で「おまえは同じ支店の男と盛り上がってたからな。宮地とか言ったっけ?」と言われ、ギクリと胸が跳ねた。
歓迎会で一緒のテーブルだったのは、たしかに宮地だったって思い出したから。
宮地と私が同期で仲がいいのは涼太だって知っているし、第一、歓迎会のときはふたりで盛り上がってたわけじゃない。他の行員も交えてだ。
だから決して深い意味が込められた言葉じゃないはずだ。
それをわかっていても、自分の恋心がバレてしまったんじゃないかと焦ってしまい、誤魔化そうと苦笑いで涼太を見上げ……驚く。
さっきまで前を向いていた視線は私をじっと捕えていて、その眼差しの強さは、浮かべていた苦笑いが一瞬にして消えてしまうほどだった。
涼太のこんな、〝男〟みたいな顔は初めてで……こうして見ると、本当にカッコいい顔してるなぁと感心してしまった。
「おまえも酔ってるわけじゃなさそうだな」
見とれてしまったところで言われ、ハッとする。
なんだ、顔色を見られていたのか、と胸を撫で下ろしながら口を開いた。
宮地への恋心がバレたわけではないらしい。
「うん。いつも頭がしっかりしてるうちにやめてる。記憶なくすほど飲んで周りに迷惑かけるのも嫌だし。
同期に、必ず潰れてひとりで帰れなくなる人がいるから反面教師になってるのかも」
はは、と笑いながら言って、そういえば、と気づく。