Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
「あの……あ、そうだ。こうして迎えにきてくれなくても、もう大丈夫だから」
不可解そうに眉を寄せ私を見ていた涼太の顔が、一瞬、ショックでも受けたように固まった気がした。
それを見て、〝あれ……?〟とどうしてだろうと疑問に感じていると、覗きこむ体勢をやめスッと腰を伸ばした涼太が「……なんで」とポツリと言う。
その声のあまりの小ささが気になり、「涼太?」と呼びながら涼太の腕に触れると、目を逸らされた。
「俺と一緒にいるところ見られると、あいつに誤解されるから?」
〝あいつ〟が宮地を指すんだとわかり、すぐに首を振る。
「違うよ。宮地は関係ないし、そうじゃなくて……。そうじゃないから、そんな顔しないで」
目元を歪め、ツラそうに表情を崩す涼太を見ていられなくて、思わず手を伸ばしその頬に触れる。
包むように触れると、涼太はぴくりと動き……それからようやく私と目を合せてくれた。
傷ついたような顔をする涼太に、笑いかける。
「あのね、犯人がわかったから、迎えは大丈夫って言ったの」
「……は? わかったって、なんで……」
驚いた顔で聞かれ、ホッとしながら説明する。
「この間……たしか月曜日だったと思うけど、私に会いにきたから。ほら、涼太が痴漢から助けた女の子いたでしょ? あの子だったみたい。
涼太の好み……っていうか、親しくしている人のことを知りたくて私のこと調べたりしてたんだって」
涼太の好きな私のことを知りたかったみたいで……とは言えずに誤魔化して伝えると、涼太は最初わからなそうにしていたけれど、次第に納得した表情に変わる。
それから、後ろ髪をかきながら口を開く。