Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
あまりに早急すぎる行為に驚いている私の上に馬乗りになった涼太は、暑そうにTシャツを脱ぐと、ベッドの上にあったリモコンに手を伸ばしエアコンを入れる。
静かな起動音を立てたエアコンが動き出すと、夏の日差しを浴びた身体には丁度いい温度の冷風が部屋を包む。
閉められたままのカーテンは遮光性なのか、真昼だっていうのに部屋は薄暗く……そんななか、涼太の瞳が光って見えた。
『知花』と呼ばれハッとすると、すぐに唇が重なり、驚く間もなく舌まで入り込んできて、ようやく事態を把握したというわけだった。
充分に時間をかけてキスをした涼太が一度唇を離したところでその胸をぐいっと押すと、涼太は顔をしかめる。
「なに。待たねーけど」
「だって……え、急すぎない……?」
付き合った初日に……なんて。私の中ではまずありえない。
涼太だって、こういうこと慎重に考えそうなものなのに……と思い見上げると、涼太は「遅すぎるくらいだろ」と呆れたように言い、そのまま私の着ていた服の裾から手を差し入れる。
今日の服は、グレーと白のボーダーのタンクトップの上に白い薄手のトップス。下は紺色のショートパンツだ。
涼太の手は、タンクトップの下……つまり、直接肌を撫であがってきていて、思わずその手を両手で掴む。
「わ、わかった……。じゃあ、シャワーだけでいいから……!」
何年想いを寄せてくれていたのかは、正確にはわからない。でも、涼太がずっと私を待ってくれていたのは事実だ。
だから、私も覚悟を決めなくちゃダメだ……とは思ったものの、この炎天下を歩いてきた身体でそのまま事に及ぶなんてさすがに恥ずかしい。
汗だってかいてるし。
そう思って止めたのに、涼太は「ダメ」と短く言い、再び唇を合わせる。