Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
「……あれ。本気にとるけど、いいんだよな」
わずかに緊張のこもったような声に、唇を引き結んでゆっくりと顔を上げて目を合わせる。
そして、まだどこか不安そうな瞳を見つめしっかりとうなづいた。
「うん。遅くなってごめん。一週間前に、宮地にはちゃんと話してきた。……私は、涼太が好きだって。
私はちゃんと、男として涼太が好き。……です」
最後、どんどん自信がなくなっていき、弱気になって〝です〟という語尾は消え入りそうな大きさになってしまった。
それでも、涼太にはしっかり聞こえたようで、それまでズンズンと歩いていた涼太はピタリと止まる。
そして、私と向き合うと、しばらく黙ったまま私をじっと見つめて……ふわっとした笑みを浮かべた。
「遅いんだよ。バカじゃねーの」
言葉は悪いのに、その顔には嬉しさが溢れているから、反論も忘れて思わず笑ってしまった。
「ん……っ、ま、待って待って……っ!」
カーテンの閉められた、薄暗い涼太の部屋。
ほとんど来たことのない部屋のベッドに強引に押し倒されて戸惑う。
路上で想いを伝えたあと、連れてこられたのは涼太の部屋だった。
普段は菜穂の部屋に集まることがほとんどだから、涼太の部屋を訪ねたことなんて数えるほどしかない。
だから、わずかに緊張しながらも部屋に上がると、玄関の鍵をかけた涼太は私の腕を掴みそのまま、寝室に直行した。