ショートショートストーリー
恐るべきダウジング
超能力者イイヅカは恐るべきダウジングの能力を持つ。

徳川埋蔵金から遺棄された遺体の発見や遺跡の発掘まで、およそ地中に埋まっているありとあらゆるものは、2本の針金で見事にその場所を言い当ててしまうのだ。

無論、そんな彼をマスコミがほおっておくはずはない。各テレビ局はこぞってイイヅカの特番を組んだ。そして彼はすべての番組でその能力をいかんなく発揮、またたく間にブームになって、イイヅカは一躍、時の人となった。



こうなると凡人はえてして天狗になり、本業をおろそかにするものだが、イイヅカは違った。それどころか、彼はますます自分の能力に磨きをかけるとともに、よりよい反応を求めて、針金の金属配合まで研究、ついに究極の配合をつきとめた。



これにより、彼のダウジングは完璧なものとなったのである。



さて、ある番組でのこと。小学校時代に埋めたタイムカプセルの場所がわからなくなってしまったので探して欲しいという視聴者の依頼に答えるという企画でイイヅカは学校の敷地をダウジングしていた。

しかし、どこを探してもいっこうに見つからない。もはや、彼の伝説もここまでか・・・スタッフ、視聴者、そして誰よりもイイヅカ本人があせりはじめたその時、学校の外に反応が。イイヅカはその反応を目指して学校の敷地を出た。そしてある道路上で立ち止まり、スタッフに告げた。



「ここを掘ってみてください。ただし、地面と相当距離があるので、かなり深くお願いします」



一転の曇りもなく自信たっぷりに話すイイヅカ。依頼者は、確かに校庭に埋めたはずだと言い張るが、これまでパーフェクトにダウジングを成功させてきたイイヅカが間違うはずはない、とスタッフは判断、すぐさま交通整理がなされ、その場所を掘る作業が始められた。テレビ局は、いくら金をかけても構わない、とばかりに何台もの重機を投入、おおがかりな発掘作業が進められたのである。
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